「表現したいのに、まだできない」生徒さんが、自分を止めていた一言に気づくまで|娘さんには「できる」と言えるのに、自分には言っていなかった事例
こんにちは。
ヨガコーチングの阿部海渡です。
「もう少し時間があったら」
「もう少しできるようになったら」
生徒さんから、
こんな言葉を聞いたことはないでしょうか。
そして、
あなた自身も
同じことを言っていないでしょうか。
最初に、
結論を書きます。
「〜ができたら、できるのに」の一言に、その方の可能性の開花を止めている原因がそのまま表れています。
ヨガ講師がしてあげるべきことは、その言葉をそのまま返して、本人に認識させてあげて、「身近な人が同じことを言っていたら、何て伝えてあげる?」と聞いてあげることです。
今日は、
私のクライアントで
ヨガ講師のGさんが、
「表現したいことがあるのに、
そのための方法が身についていない」と
止まっていた生徒さんに
関わった事例をお話しします。
Gさんが伝えたのは、
こんな問いかけでした。
「娘さんには、
『何でもできる』と
言ってあげていますよね。
それを
ご自分には
言っていないんです」
なお、
この記事でご紹介する事例は、
実際のセッションをもとにしています。
ご本人が特定されないように、
お名前や年齢、細かな状況、
サポートした講師の立場などは変えて
書いています。
「表したい世界があるのに、そのための時間が取れないんです」

Gさんの生徒さんは、
家事と子育てをしながら
レッスンに通っている女性です。
ある日のレッスンのあと、
こんな話をしてくれました。
「私には、
表したい世界があるんです」
それは、
愛だったり、
止まるような感覚だったり、
少し重たい感じだったり。
言葉にしきれないけれど、
毎日のように
「表したいな」と思っている。
でも、
それを表すには、
方法を身につけないといけない。
その時間が、
思うように取れない。
「やりたいと思いながら、
お皿を洗っている自分がいるんです。
掃除をしている自分がいるんです」
何かを変えなきゃいけないのは
分かっている。
でも、
変えられていない。
その、
もやもやした気持ちを
話してくれました。
Gさんが聞いたこと:「それは、絵の話ですか。それとも、あり方の話ですか」

Gさんは、
すぐに答えを
言いませんでした。
まず、
こう聞きました。
「表したい世界というのは、
作品をつくるお話ですか。
それとも、
もう少し広い、
あり方のお話ですか」
生徒さんの答えは、
こうでした。
「言葉もそうですし、
体もそうですし。
自分がいることで
出ていくもの、
全部です」
ここで、
Gさんには
見えたものがありました。
作品の話なら、
方法を身につける時間が
要るかもしれません。
でも、
あり方の話なら、
今日からでも
表せるはずです。
Gさんが返したこと:「最初におっしゃった言葉が、止めている原因です」

Gさんは、
生徒さんにこう伝えました。
「最初に、
『表すためには、
それに必要なものがある』と
おっしゃいましたよね。
その考えが、
叶っていない原因だと思います」
「もう少しできたら、できるのに」
そう思っていると、
その「もう少し」は
いつまでも先に延びていきます。
生徒さんは、
しばらく考えてから、
こう言いました。
「描くものと、
動きと、
言葉で、
表したい世界があって。
それをやるスキルがないと、
これはできないなって
思っていました」
Gさんは、
こう返しました。
「そうなんです。
そこに、
1つ挟んでいるんです」
「傘がないと帰れない」と思ったら、傘を探す時間が始まる

Gさんは、
たとえ話をしました。
「家に帰りたいな、と思ったら、
ふつうは
そのまま帰りますよね」
「でも、
『傘がないと帰れない』と思ったら、
傘を見つけてからでないと
帰れなくなります」
意識は、
傘を探すことに向かいます。
この傘ならいい、
この傘ではダメ。
そうしているうちに、
何年もたってしまう。
「そうではなくて、
『帰れる』と思って
歩いていたら、
いちばんの近道は
その道の途中にあります。
それを
パッと取ればいいんです」
そして、
こう付け加えました。
「足りないと思うものかもしれません。
でも、
足りているんです。
それで」
「娘さんには、『何でもできる』と言っていますよね」

それでも、
生徒さんの中には
まだ引っかかりが
残っているようでした。
そこでGさんは、
生徒さんの
娘さんの話をしました。
「娘さんが
『宇宙飛行士になりたい』と言ったら、
なんて言いますか」
「『あれもこれも
していないから無理よ』とは、
たぶん言わないですよね」
「『いいじゃん、
できるできる』と
言ってあげると思うんです」
「それを
娘さんにはしているのに、
ご自分にはしていない。
それだけなんです」
「確かにそれはあります。すごくあるなって思います」

生徒さんは、
こう答えました。
「確かにそれはあります。
すごくあるなって思います」
「娘には、
何でもできるって言っていて、
娘も、
何でもできると思っています」
「でも、
娘にできることで、
自分にはできないことがある、
と思っていました」
Gさんは、
ここで無理に
言い負かそうとは
しませんでした。
「やりたいか、
やりたくないかは、
あると思います」
「娘さんが川で泳いでいても、
自分は泳ぎたくない、
ということはありますよね。
でも、
泳げないわけではない。
泳ぎたくなかったら、
泳がなくていいんです」
できるかどうかではなく、
やりたいかどうか。
生徒さんは、
「その意識を持って
過ごしてみたいと思います」と
話してくれました。
気づいたら、「待って、できるんだった」と直せばいい

最後に、
Gさんは
こう伝えています。
「今日のように
言葉にしてもらえたら、
すぐに気づけますよね」
「生活の中で、
『これがないと無理』と
思っている自分に気づいたら、
『待って待って、
できるんだった』と
すぐに直してあげればいいんです」
気づかないままでいると、
「これがないと無理」
「あれがないと無理」
「私には無理」が
積み上がっていきます。
そして、
意識がそちらに向かうと、
その通りの毎日が
続いていきます。
この生徒さんが
その場で手に入れたのは、
新しい方法ではありません。
自分を止めていた
一言に気づく目でした。
Gさんが抱えていた悩み:「もっと学んでからでないと、私にはまだ教えられない」

じつは、
Gさん自身も
同じところで
止まっていた時期がありました。
Gさんには、
やりたいことがありました。
生徒さんが
自分を好きになっていく。
自分に気づいていく。
そのお手伝いを
パーソナルでしたい。
でも、
私とのセッションで
こう話していました。
「本当は、
自分にはそんなことはできないと、
どこかで最初から思っているんです。
もっともっと勉強して、
もっともっとやってからじゃないと、
と」
私がGさんに伝えたこと:「今の言葉、そのままお返しします」

私は、
こうお伝えしました。
「出てきましたね。
それを聞きたくて、
お話を伺っていたんです」
「今おっしゃった言葉を
そのままお返しすると、
『私には学びが足りないから、
まだ教えられない』ですよね。
その考えがあると、
20年後も30年後も、
同じ毎日を見続けることになります」
学びは、
もう必要ありません。
本当は、
私と出会う前から
必要なかったのです。
自分のことが分かっていたら、
目が曇っている人を見たときに、
「この方は今、曇っているな」と
分かります。
あとは、
その原因を
一緒に見つけて、
目が輝く状態に
連れて行ってあげるだけです。
そのために、
新しい資格を
もう1つ取る必要はありません。
「望むのであれば、
全然できると思いますよ」
Gさんの変化:「確かに、それもあるのかなと思っていました」

Gさんは、
こう話してくれました。
「確かに、
それもあるのかなって、
ちょうど思ったところでした」
「〜ができたら、できるのに」
生徒さんの
「スキルがないと、これはできない」と、
Gさんの
「もっと学んでからでないと、教えられない」は、
同じ形をしています。
自分の中にも
同じ一言があったと知っている講師は、
生徒さんの言葉の中にある
それにも気づけます。
そして、
責めることなく、
「そこに1つ挟んでいますね」と
そっとお返しできます。
この事例から学べる、明日から実践できる考え方

1. 「〜ができたら」「〜があれば」の一言を聞きのがさない
この生徒さんは、
最初に
「表すためには、必要なものがある」と
話していました。
可能性の開花を止めている原因は、
たいてい
最初の言葉に表れています。
2. 説明しないで、言葉をそのまま返し、本人に認識させてあげる
Gさんは、
「そんなことはないですよ」と
励ましたわけではありません。
「最初に、こうおっしゃいましたよね」と
生徒さんの言葉を
そのまま返しただけです。
自分の口から出た言葉だから、
本人が
「私はそう考えていたんだ」と
認識できます。
3. 「身近な人が同じことを言っていたら、何て伝えてあげる?」と聞いてあげる
自分のことになると
見えなくなるものも、
大切な人のこととして聞かれると
見えてきます。
Gさんが
「娘さんが『宇宙飛行士になりたい』と言ったら、
なんて言いますか」と
聞いたのは、
そのためです。
娘さんには
「できるできる」と言えるのに、
自分には言っていない。
その差に気づいたとき、
生徒さんは
「すごくある」と
話してくれました。
4. できるかどうかではなく、やりたいかどうかで分ける
「できないこともある」という声には、
「やりたくないことはある。
でも、できないわけではない」と
分けてお返しする。
泳ぎたくなければ、
泳がなくていいんです。
「まだ足りない」と止まっている生徒さんに、「足りている」と言える講師になる

グループレッスンでは、
生徒さんが
「本当は何を表したいのか」まで
聞く時間は、
なかなかありません。
でも、
パーソナルで
その方の言葉を
最後まで聞いていると、
止めている一言が
ふっと出てくる瞬間があります。
その一言をそのまま返して、
「身近な人が同じことを言っていたら、
何て伝えてあげますか」と
聞いてあげられる講師になれたら、
生徒さんは
「まだ足りない」から
「もう足りている」へと
歩き出せます。
そしてそれは、
「もっと学んでからでないと」と
思っている
あなた自身にも
当てはまります。
「まだ自信がないまま
教えてもいいのか」と
迷っている方は、
こちらも読んでみてください。
→ 「まだ自信がない」まま、ヨガを教えていい理由|完璧になってから、は順番が逆です
生徒さんが「直さなきゃ」と思っていたところを
「いちばんいいところ」と伝えた事例は、
こちらです。
→ 「子どもっぽい自分」を抑えてきた生徒さんが、「それでいいんだ」と思えるまで
最初の一歩を
3つ書きます。
ぜひ、
実践してみてくださいね。
1. 生徒さんの「〜ができたら」を1つ書き留める
次のレッスンで、
「もう少し体が柔らかくなったら」
「時間ができたら」
という言葉が出たら、
メモしておいてください。
2. 「身近な人が同じことを言っていたら、何て伝えてあげますか」と聞いてみる
メモした言葉を
そのまま返して、
「今、そうおっしゃいましたね」と
認識してもらってから、
聞いてみてください。
娘さん、
お友達、
大切な方。
その方に向けて出てきた言葉を
ご本人にも
向けてもらいましょう。
3. ご自分の「〜ができたら」も、1つ書き出す
「もっと学んだら」
「資格を取ったら」
あなたが
自分にだけ付けている条件を
1つ見つけてみてください。
よくある質問
- 生徒さんの言葉をそのまま返すと、責めているように聞こえませんか。
-
責める言い方にならないのは、評価を足さないときです。Gさんは「その考えはよくない」とは言っていません。「最初に、こうおっしゃいましたよね」と返して、本人に認識してもらっただけです。そのうえで、傘のたとえや「娘さんが同じことを言ったら、なんて言いますか」という問いで、生徒さんが自分で気づける形にしています。
- 本当にスキルが必要な場面もあるのではないでしょうか。
-
あります。ただ、この生徒さんが表したかったのは、作品ではなく「自分がいることで出ていくもの全部」でした。それなら、今日からでも表せます。Gさんが最初に「作品の話ですか、あり方の話ですか」と聞いたのは、そこを分けるためです。
- その場で「確かに」と言ってくれても、すぐ元に戻ってしまいませんか。
-
戻ることはあります。だからGさんは、「気づいたら『待って、できるんだった』とすぐ直せばいい」と、戻ったときのやり方までお伝えしていました。一度で変わらなくても、気づける回数が増えていけば十分です。
- 講師の私自身が「まだ学びが足りない」と思っています。それでもパーソナルはできますか。
-
できます。Gさんも同じところで止まっていました。生徒さんの目が曇っているときに、それに気づいて、原因を一緒に見つけて、輝く状態に連れて行く。そのために新しい資格を取る必要はありません。「学びが足りないから」という一言そのものが、止めている原因です。
まとめ

「表したい世界があるのに、
そのための方法が身についていない」
そう話した生徒さんを
止めていたのは、
時間でも、
方法でもありませんでした。
「それをやるスキルがないと、
これはできない」
その一言でした。
Gさんは、
その言葉をそのまま返して
本人に認識してもらい、
「傘がないと帰れない」と
たとえて、
「娘さんが同じことを言ったら、
なんて言いますか」と聞きました。
「娘さんには『できる』と言っているのに、
ご自分には言っていない」
そこに、
生徒さん自身が
気づけるようにしたのです。
生徒さんは、
「確かにそれはあります。
すごくあるなって思います」と
気づいてくれました。
そしてGさん自身も、
「もっと学んでからでないと、
私にはまだ教えられない」という
同じ一言を抱えていた時期がありました。
最後までお読みくださり、
ありがとうございました。
ここまで読んでくださったあなたは、
生徒さんが自分を止めている一言に
気づいてあげられる講師になりたい方だと思います。
この記事の結論を
もう一度だけ書きます。
「〜ができたら、できるのに」の一言に、
その方の可能性の開花を止めている原因が
そのまま表れています。
ヨガ講師がしてあげるべきことは、
その言葉をそのまま返して、
本人に認識させてあげて、
「身近な人が同じことを言っていたら、
何て伝えてあげる?」と
聞いてあげることです。
その関わりが、
生徒さんを
「まだ足りない」から
「もう足りている」へ
連れて行きます。
ただ、
ここまで読むと、
こんな疑問が浮かぶかもしれません。
「生徒さんのどんな言葉に
気をつけて聞けばいいのだろう」
「パーソナルで、
どんな順番で話を聞けばいいのだろう」
そこが知りたい方のために、
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