「子どもっぽい自分」を抑えてきた生徒さんが、「それでいいんだ」と思えるまで|その場では響かなかった一言が、2週間後に届いた事例
こんにちは。
ヨガコーチングの阿部海渡です。
生徒さんに
大事な一言を伝えたのに、
その場の反応が薄かった。
「届かなかったのかな」
そう感じて、
次からは言うのを
やめてしまったことはないでしょうか。
最初に、
結論を書きます。
生徒さんが「直さなきゃ」と思っているところが、その方のいちばんいいところであることがあります。
そして、それを伝えた一言は、その場では響かなくても、2週間後に届くことがあります。
今日は、
私のクライアントで
ヨガ講師のFさんが、
「子どもっぽい自分」を
ずっと抑えてきた生徒さんに
一言をかけた事例をお話しします。
その場で返ってきたのは、
驚いた顔だけでした。
でも2週間後、
生徒さんはこう話してくれました。
「今まで、子どもっぽい自分を否定していました。
そこがいいって言ってもらったのは、
たぶん初めてです」
なお、
この記事でご紹介する事例は、
実際のセッションをもとにしています。
ご本人が特定されないように、
お名前や年齢、細かな状況、
サポートした講師の立場などは変えて
書いています。
「ポーズの途中で、むせてしまうんです」

Fさんの生徒さんは、
人前に出て話すお仕事を
されている女性です。
ある日のレッスンで、
こんな話をしてくれました。
「最近、
ポーズの途中で
むせてしまうことが多いんです」
水を飲んだり、
別のポーズに変えてみたり。
自分なりに工夫はしていたけれど、
どう考えたらいいのか分からない。
それで、
「どう考えたらいいですか」と、
Fさんに聞いてくれたのが始まりでした。
ヨガでは、
喉は
「自分を表現すること」と
深く関わる場所だと考えます。
本当の自分を出してはいけない。
出したら、
どう思われるか分からない。
そう感じているときに、
喉のあたりに
つかえるような感覚が
出てくることがあります。
Fさんは、
そのことをお伝えしたうえで、
「それはいけないことではなくて、
そういう途中にいる、
ということを教えてくれているんだと思います」と
話しました。
「踊っているときは、平気だったんです」

話を聞いた生徒さんは、
少し考えてから
こう言いました。
「そういえば、
踊っているときは
平気だったんです」
生徒さんは、
ダンスが好きな方でした。
踊っているときは、
体の全部を使って、
思いきり自分を出している。
そのときは、
喉がつかえることはなかった。
Fさんが見たのは、
ここでした。
むせることそのものではなく、
「平気だった場面」に、
その方らしさが出ていたのです。
Fさんが伝えたこと:「子どもらしいところが、いちばんいいところです」

Fさんは、
生徒さんにこう伝えました。
「子どもらしいところが、
あなたのすごくいいところなんです。
それを抑えていると、
体に出てきてしまうと思うんです」
そして、
こう続けました。
「踊っているときの、
全部出しているあの感覚で、
お仕事の場でも
話してみたらどうでしょう」
「子どもっぽく見られないように、頑張っていました」

生徒さんの答えは、
こうでした。
「たしかに、
子どもっぽく見られることが多いので、
そうならないように頑張ろう、
という気持ちが入っていました」
「そのままでいいなら、
そっちの方がいいかもしれません」
ここで、
Fさんはもう一つだけ
付け加えています。
「お仕事の場で、
しっかりした立場を取ることは
大事です。
でも、
心の中では
全部さらけ出しているくらいの気持ちで、
言うことは言う。
そうすると、
内側から光ってくると思います」
その日の話は、
ここで終わりました。
Fさんは
「また変化があったら、
聞かせてください」とだけ伝えて、
それ以上は
何も言いませんでした。
生徒さんの反応は、
驚いた様子だけでした。
2週間後:「それでいいんだ、と思えました」

2週間後、
生徒さんは
こんな話をしてくれました。
「あのとき言っていただいたことは、
その場では、
驚きしかなかったんです」
「でも、
この2週間くらいの間に、
じわじわ、
ぐさりぐさりと
効いてきて」
「時間がたつにつれて、
いいんですか、
という気持ちになって」
そして、
こう続けました。
「今まで、
子どもっぽい自分を
否定していたなって
気づいたんです。
もう、ダメな前提で
生きていました」
「そこがいいって
言ってもらったのは、
たぶん初めてで。
それでいいんだって。
自分の中で、
すごく大きかったです」
「小学生料金ですね」と言われて、落ち込んでいた

実はこの生徒さん、
Fさんの一言を聞く
1週間ほど前に、
こんな出来事がありました。
息子さんと出かけた先の受付で、
小学生料金を案内されたのです。
それまでも、
同じようなことは
何度かありました。
そのときは、
年上の友達と
一緒だったからかな、
と思っていた。
でもその日は、
息子さんと二人だけでした。
周りの人に話すと
「それはやばいよ」と言われて、
すっかり落ち込んでいた。
そこに届いたのが、
「子どもらしいところが、
いちばんいいところです」
という言葉でした。
「春の花みたいに、
うれしい気持ちです」
生徒さんは、
そう話してくれました。
Fさんは、
こう返しています。
「その言葉は、
あなたが私に言わせてくれたんですよ。
ご自身の中にいる神様に、
ありがとうと言ってあげてください」
Fさんが抱えていた悩み:「言っても、受け取ってもらえない」

じつは、
Fさん自身にも
悩んでいた時期がありました。
パーソナルの生徒さんに
大事なことを伝えても、
なかなか受け取ってもらえない。
細かく説明しても、
分かってもらえない。
「そんなことでは
うまくいかないのに」
そう思うと、
イライラしてしまう。
Fさんは、
私とのセッションで
その気持ちを
正直に話してくれました。
私がFさんに伝えたこと:「言うことは言う。受け取るタイミングは、その方のもの」

私がお伝えしたのは、
次のことです。
「言うことは、言う。
それで受け取らなかったら、
それはその方の選択です」
それでも
相手をコントロールしようとすると、
怒りが出てきます。
それは、
「自分のほうが正しい」と
考えているからです。
本当は、
正しいも
間違いもありません。
「私は、
これがあなたにとっての
正解だと思うよ」
そうやって、
伝えるだけでいいんです。
青が好きな人と、
赤が好きな人がいる。
「青が好きなのね、
私は赤が好き」で
いいんです。
そして、
こう付け加えました。
「もう少し時間がたったら、
じわじわ分かってくるかもしれません。
人には、タイミングがあるので」
Fさんの変化:「その方から、私も学べることがある」

Fさんは、
こう話してくれました。
「私が、
感情的になりすぎていたのかもしれません」
「その方は、
細かいことを考えずに
やってみる人。
そういうところは、
私も学ぶべきですね」
伝えることは伝える。
受け取るかどうか、
いつ受け取るかは、
その方に任せる。
「子どもらしいところが、
いちばんいいところです」と
伝えたあと、
Fさんがそれ以上
何も言わずに待てたのは、
このことを知っていたからです。
そして実際に、
その一言は
2週間後に届きました。
この事例から学べる、明日から実践できる考え方

1. 生徒さんが「直したい」ところに、いちばんいいところが隠れている
この生徒さんは、
「子どもっぽく見られないように」
頑張っていました。
でも、
その子どもらしさこそが、
その方の魅力でした。
生徒さんが
短所だと思っているところに、
長所という言葉を添えてあげる。
それだけで、
ずっと続いてきた
自己否定がほどけることがあります。
2. 体の不調より、「平気だった場面」を聞く
むせることを
どうにかしようとしても、
答えは出ませんでした。
答えがあったのは、
「踊っているときは平気だった」
という一言です。
その方が平気でいられる場面には、
その方らしさが出ています。
3. 一言は、その場で響かなくていい
生徒さんの最初の反応は、
驚きだけでした。
もしFさんが
「届かなかった」と思って、
言い直したり、
説明を足したりしていたら、
2週間のじわじわは
起きなかったかもしれません。
伝えたら、
あとは待つ。
4. 否定されてきたところは、肯定されたことがない
「そこがいいって言ってもらったのは、
たぶん初めて」
生徒さんのこの言葉が、
すべてを物語っています。
自分でダメだと思っているところは、
周りからも
直すように言われてきたところです。
だからこそ、
講師がそこを
「いいところ」と言えたとき、
大きく響きます。
生徒さんが隠してきたところに、「いいところ」と言える講師になる

グループレッスンでは、
生徒さん一人ひとりが
何を抑えて生きてきたのかまで、
聞く時間はなかなかありません。
むせる、
力が抜けない、
疲れやすい。
そういう体の話の奥に、
その方が
ずっと隠してきたものがある。
それに気づいて、
「そこが、あなたのいいところです」と
言える講師になれたら、
生徒さんは
ヨガの時間だけでなく、
生き方そのものが
軽くなっていきます。
なぜパーソナルヨガが
生徒さんにいちばん喜ばれるのかは、
こちらに書いています。
→ パーソナルヨガは、なぜ生徒さんにいちばん喜ばれるのか|悩みを根本から解決し、理想の未来まで一緒に歩くヨガ
一言の質問で
生徒さんの決めごとがほどけた事例は、
こちらです。
→ 旦那さんが休みの日は習い事に行かないと決めていた生徒さんが、レッスンに来られるようになるまで
最初の一歩を
3つ書きます。
ぜひ、
実践してみてくださいね。
1. 生徒さんが「気にしている」と話していたことを1つ思い出す
「声が小さくて」
「おっとりしていて」
「人に合わせてしまって」
その性質が
いいところとして出ている場面が
ないか、探してみてください。
2. 「平気なのは、どんなときですか」と聞いてみる
体の不調の話が出たら、
その不調が
出ない場面を聞いてみてください。
そこに、
その方らしさがあります。
3. 伝えたら、言い直さない
その場の反応が薄くても、
説明を足さずに
「また聞かせてくださいね」で
終えてみてください。
よくある質問
- 生徒さんの短所を「いいところ」と言うのは、ただのお世辞になりませんか。
-
お世辞にならないのは、根拠があるときです。Fさんは、生徒さんが「踊っているときは平気だった」と話したのを聞いて、全部出しているときのその方が、いちばんその方らしいと見ていました。思いつきで褒めたのではなく、生徒さん自身の言葉の中から見つけたので、2週間かけて本人の中に入っていきました。
- その場で反応がなかったら、どうすればいいですか。
-
言い直さず、待ってください。この生徒さんも、その場では「驚きしかなかった」と話しています。言葉が本人の中で育つには時間がかかります。Fさんは「また変化があったら、聞かせてください」とだけ伝えていました。説明を重ねるより、受け取るタイミングをその方に任せる方が、深く届きます。
- 体の不調の話から、心の話につなげてもいいのでしょうか。
-
Fさんは、むせる理由を決めつけたわけではありません。ヨガの考え方をお伝えしたうえで、「踊っているときはどうですか」という方向に話を広げただけです。つながりに気づいたのは、生徒さんご自身でした。体の話を入口にしながら、答えはご本人の言葉から出てくるのを待つ。それが、パーソナルで話を聞くときの順番です。
- 何度伝えても受け取ってもらえない生徒さんには、どう関わればいいですか。
-
伝えることは伝えて、受け取るかどうかはその方に任せてください。それでも変えようとすると、こちらにイライラが出てきます。それは「自分が正しい」と思っているサインです。「私はこう思うよ」と伝えて、あとは待つ。人にはタイミングがあります。
まとめ

ポーズの途中で
むせてしまうと話した生徒さん。
その方が
本当に抑えていたのは、
「子どもっぽい自分」でした。
Fさんは、
「踊っているときは平気だった」という
生徒さんの言葉を受けて、
「子どもらしいところが、
あなたのいちばんいいところです」と
伝えました。
その場で返ってきたのは、
驚きだけでした。
でも2週間後、
生徒さんは
「ダメな前提で生きていたと気づいた。
それでいいんだと思えた」と
話してくれました。
そしてFさん自身も、
受け取ってもらえない相手に
イライラしていた時期を経て、
「言うことは言う。
受け取るタイミングは、
その方のもの」と
待てるようになっていました。
生徒さんが直そうとしているところに、
いちばんいいところがある。
その一言は、
その場で響かなくていい。
最後までお読みくださり、
ありがとうございました。
ここまで読んでくださったあなたは、
生徒さんが隠してきたところまで
受け止めてあげられる講師になりたい方だと思います。
この記事の結論を
もう一度だけ書きます。
生徒さんが「直さなきゃ」と思っているところが、
その方のいちばんいいところであることがあります。
それを言葉にして伝え、
受け取るタイミングはご本人に任せる。
その関わりが、
生徒さんの生き方を変えていきます。
ただ、
ここまで読むと、
こんな疑問が浮かぶかもしれません。
「私の生徒さんの、
いちばんいいところは
どこだろう」
「パーソナルで、
どんな順番で話を聞けばいいのだろう」
そこが知りたい方のために、
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